ピーチとの統合によって真っ先に廃止となった成田〜函館線
◼️国内線のLCCがなくなった
バニラエアがピーチアビエーションと経営統合するにあたり、真っ先に廃止が決まったのが成田〜函館線でした。2019年3月30日を持って廃止となり、残念ながらピーチには引き継がれませんでした。
運航時間帯も成田発が15時30分発の午後便とはいえ、それほど極端に悪い時間帯ではなく、私も何度も利用させていただいたのですが、記事にもある通り運航期間中の搭乗率が77.2%とLCCとして若干計画値には届かなかったようですが、冬季に訪問客が減少する北海道の通年運航にしては健闘していたと思います。
専門誌Aviation Wireの記事によると、運航期間中の770日間で1448便を運航し、総提供座席数は26万640席、20万1175人が利用したそうです。
ただ以前から一つ気になっていたことがありました。それは冬季の運賃が慢性的に安かったことです。利用者にとって運賃が安いことは有難いことではありますが、LCCといえ、5000円以下では採算が取れず、撤退しなければいいなと思っていました。
慢性的に安いということは、実際の需要を低価格という力技で搭乗率を上げていたということですし、さらに冬の北海道の中でも特に欠航になりやすい函館空港ですから、機材繰りや遅延のリスクも相当苦しかったのではなかったと思います。
廃止に当たって北海道新幹線開業の影響はあまりなかったと思います。というのも北海道新幹線は片道運賃が22,490円、えきねっとの「お先にトクだ値」やJR北海道のWEB予約「北海道お先にネットきっぷ」を使っても25%割引で片道17,000円くらいします。利便性や価格帯を考えると、JALやANAなどの羽田〜函館線が競合になると思います。
バニラとしては奄美大島便の成功例もあり、自ら観光路線需要を作ろうと高い志を持って参入したのだと思います。しかし、採算にシビアなピーチはそれを許さなかった(笑)。というのは半分冗談ですが、冬季需要の落ち込みによって最後まで採算が取れなかったのでしょうね。
バニラエアの井上慎一社長は「残念ながら、バニラエアとしては3月30日の運航で同路線が廃止となりますが、函館は魅力のある就航先であることに変わりはございません。引き続き地元自治体等と密接に連携し、新千歳、釧路に続く道内就航地点を、函館を含めてさらに検討してまいりたいと思っております。」とコメントしており、将来ピーチでの路線復活に対して含みをもたせているのが救いですが、同時に井上社長自ら手塩にかけて育てようとした路線が、結実する前に撤退する無念さとも受け取れます。
(個人的には函館線の復活は関西空港を含めても厳しいと思っています。せめて季節お運航だけでも再開して欲しいです。台湾からは2社から運航されているので、潜在需要はもっとあるはずです。)
統合をきっかけに成田〜函館線がなくなるのはとても寂しいですが、最後まで頑張って函館線を運航してくれたバニラエアに心から感謝します。函館の思い出をたくさん作ってくれてありがとう。
◼️今後の航空券について
今後函館空港の国内線はJAL、ANA、Air Doの3社となります。
(国際線は台湾のレガシーキャリアエバー航空とLCCタイガーエアの2社)
運賃が平均して安いのは北海道の航空会社Air Doですが、JALやANAも75日以前に予約する「ウルトラ先得」「スーパーバリュー」などが発売されるタイミングを狙うことで運賃を安く抑えることができます。
これらの定期的な早割チケットは毎年1月と8月に発売されますが、それ以外にも最近はサマーセールなどのスポット割引キャンペーンがありますので、日頃から各社のホームページや航空券比較サイトをまめにチェックしてみてください。
(マイレージなどで特定の航空会社を利用する場合はその航空会社の公式サイトを、航空会社にこだわらない場合は料金比較サイトを使うと便利だと思います。)
<Aviation Wireの記事>
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